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養育費は、子供の生活費として必要不可欠なものであり、元パートナーの収入状況や子供の年齢・状況などによって、金額が決定されます。しかし、子供の成長や教育環境の変化、生活費の値上がりなどによって、養育費が不足してしまう場合があります。そこで、養育費を増額するための方法を以下にまとめました。
この記事の内容
養育費の相手との協議による増額
養育費の相手との協議による増額とは、裁判所や民事調停に頼らずに、養育費を支払う相手と話し合い、養育費の増額を決める方法です。養育費を支払う相手が協力的であれば、裁判所や民事調停に頼らずに話し合いで解決できることもあります。
具体的には、以下のような方法があります。
相手に直接交渉する
養育費を支払う相手に直接交渉することができます。まずは、相手に増額を求める旨を伝え、理由を説明して協力を求めましょう。相手にとっても、裁判所や民事調停にかかる費用や手続きの手間を避けることができます。また、相手にとっても子どものために養育費を支払うことが重要であることを説明することが大切です。
仲介人を立てる
話し合いに第三者の仲介人を立てることで、話し合いが円滑に進むことがあります。例えば、両親や親戚、友人、弁護士、司法書士、メディエーター、カウンセラーなどが仲介人になることができます。仲介人には、双方の話を聞き、両者の意見を調整する役割があります。
交渉の場を設ける
養育費の交渉の場を設けることで、話し合いが円滑に進むことがあります。交渉の場には、話し合いの日程、場所、時間などを定め、お互いに納得のいく養育費の金額を決めることができます。
養育費の相手との協議による増額のメリットは、裁判所や民事調停に比べて、手続きが簡単で費用もかからず、相手にとっても子どものために養育費を支払うことが大切であるという理解を深めることができる点です。しかし、相手が協力的でない場合や、交渉が決裂した場合は、裁判所や民事調停に頼るしかありません。
弁護士による増額交渉
相手方との交渉が難しい場合や、円満に解決できない場合には、弁護士に相談し、交渉を行う方法があります。養育費の増額について、弁護士に交渉を依頼する場合は以下の手順に従うことがおすすめです。
弁護士の選定
まずは、信頼できる弁護士を選定しましょう。養育費増額の交渉に特化した弁護士を探すのも一つの方法です。また、弁護士会の相談窓口や法テラスなどの公的な相談機関を利用して、適切な弁護士を紹介してもらうこともできます。
依頼の内容を明確化する
依頼をする際には、どのような養育費の増額を求めるのか、現在の状況や要件などを詳細に伝えましょう。弁護士は、この情報をもとに、最適な交渉戦略を立てることができます。
弁護士との契約
弁護士との契約には、報酬や支払い方法、依頼内容などを明確に記載しましょう。また、契約書には弁護士費用の上限額を明示することも大切です。
弁護士に交渉を委任する
弁護士に交渉を委任することで、養育費増額の交渉を専門的に行ってもらうことができます。弁護士は、相手方との交渉や和解交渉の場で、適切なアドバイスを行い、養育費増額の交渉に取り組むことができます。
交渉結果の確認
交渉の結果、養育費の増額が認められた場合は、相手方との合意書を作成し、署名・捺印を行いましょう。また、交渉によって合意が得られなかった場合は、裁判所に提訴することもできます。
弁護士に交渉を依頼することで、養育費の増額に向けた専門的な交渉が可能となります。ただし、弁護士費用がかかるため、事前に十分に費用を把握はしておきましょう。
民事調停で養育費の増額を求める
養育費の増額を求めるためには、裁判所に訴訟を起こすこともできますが、民事調停によって解決することもできます。民事調停は、裁判所による判断を待たずに、紛争解決を目指すための手続きで、仲裁人が仲介役として交渉にあたります。以下では、養育費の増額を民事調停で解決するための手順について説明します。
申立書の提出
民事調停を申し立てるためには、申立書を提出する必要があります。申立書には、増額を求める理由や金額、相手方の情報などを記載する必要があります。申立書は、各地方裁判所の民事調停窓口で提出することができます。
調停委員の選任
申立書が受理されたら、調停委員が選任されます。調停委員は、紛争解決の専門家であり、交渉や仲裁にあたります。
調停委員との面談
調停委員との面談が行われます。面談では、双方が話し合いを行い、調停委員が仲介役となって妥協点を探します。この時、増額を求める理由や金額を具体的に伝えることが重要です。
和解案の提示
調停委員が妥協点を探し、双方が納得する和解案を提示します。和解案が合意されれば、調停調書に記載され、署名・捺印が行われます。これによって、和解成立となります。
裁判所での承認
和解成立後、調停調書を裁判所に提出し、承認を受けます。裁判所での承認が済めば、和解は完了し、和解内容が法的に拘束力を持つようになります。
民事調停によって増額を解決する場合、費用は相手方と折半となります。また、調停での和解が成立しなかった場合、訴訟提起も可能です。
養育費増額を裁判所で訴訟する
相手方との交渉や調停がうまくいかない場合には、裁判所に訴えて養育費の増額を求めることができます。ただし、訴訟を起こすと費用や時間がかかり、ストレスを感じることもあるため、最終手段として考えるべきです。以下の手順について説明します。
弁護士の雇用
養育費増額を裁判所で訴訟する場合は、まず弁護士を雇う必要があります。弁護士は、訴状の作成や裁判所とのやりとりなど、手続き全般を代行してくれます。
訴状の作成
弁護士と相談の上、訴状を作成します。訴状には、増額を求める理由や根拠などを詳しく記載します。
裁判所への提出
訴状を作成したら、裁判所に提出します。裁判所は、提出された訴状を審査し、訴訟の可否を決定します。
審理
裁判所は、審理期日を設定し、訴訟の審理を行います。弁護士は、審理に立ち会い、裁判所とのやりとりを行います。また、相手方から提出された書類や証拠に対し、反論を行うこともあります。
判決
審理が終了したら、裁判所は判決を下します。判決によって、養育費の増額が認められる場合もあれば、認められない場合もあります。
上訴
判決に不服がある場合は、控訴することもできます。控訴をする場合は、再び弁護士を雇い、控訴審での訴訟を行います。
養育費増額の裁判は、訴訟費用や時間がかかるというデメリットがありますが、証拠の提出や法的な手続きが必要な場合には有効な手段となります。また、弁護士による交渉や民事調停などで解決できなかった場合には、最終的な手段として検討することができます。
まとめ
以上が、養育費の増額についての代表的な方法です。相手方との交渉や調停で解決できれば、円満な関係を維持することができますが、裁判所での訴訟は、費用や時間がかかり、ストレスを感じることもあるため、最終手段として考えるべきです。