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養育費が支払われない場合、子供の生活費や教育費などがまかなえず、親と子供の生活に深刻な影響を与えることがあります。そのため、相手方に養育費を支払うことを義務付けた裁判所の判決がある場合、強制的に回収する方法があります。以下に、養育費が支払われない場合の強制的な回収方法を紹介します。
1. 強制執行
裁判所の判決に従わない場合、相手方の財産を差し押さえることができます。強制執行は、法務局や弁護士を通じて行うことができます。具体的には、以下の手順で進めます。
- 弁護士に相談する 養育費が支払われない場合は、弁護士に相談し、手続きを進めることをおすすめします。弁護士は、差し押さえの手続きや法的なアドバイスをしてくれます。
- 差し押さえの申立てを行う 法務局に差し押さえの申立てを行います。申立てには、裁判所の判決や、その他の書類が必要です。
- 財産の差し押さえ 申立てが認められた場合、強制執行官が相手方の財産を差し押さえます。差し押さえ対象には、不動産や預金などがあります。
- 財産の売却・競売 差し押さえた財産を売却または競売にかけて、その収益から養育費を支払います。
2. 担保差し押さえ
担保差し押さえは、相手方が保有する債権を差し押さえることです。具体的には、以下の手順で進めます。
- 裁判所に担保差し押さえの申立てを行う 弁護士を通じて、裁判所に担保差し押さえの申立てを行います。
- 債権の差し押さえ 申立てが認められた場合、債権者となります。
- 債権の受け取り 相手方が債務を履行しない場合、差し押さえた債権から養育費を受け取ることができます。
3. 準強制執行
準強制執行は、相手方が支払いを拒否した場合に行われます。具体的には、以下の手順で進めます。
- 裁判所に申し立てを行う 裁判所に準強制執行の申し立てを行います。
- 強制執行官が立会いをする 裁判所によって指定された日時に、強制執行官が立会いをするために相手方のもとを訪問します。
- 強制的な支払いを求める 強制執行官が相手方に対して、強制的な支払いを求めます。
- 支払いがない場合は、強制執行が行われる 相手方が支払いを行わない場合、強制執行が行われます。
4. 延滞損害金の請求
養育費が支払われない場合、延滞損害金を請求することができます。具体的には、以下の手順で進めます。
- 延滞損害金の金額を計算する 延滞損害金の金額は、遅延期間と遅延利率に基づいて計算されます。
- 延滞損害金を請求する 弁護士を通じて、延滞損害金を請求することができます。
養育費が支払われない場合には、相手方に対して強制執行や担保差し押さえ、準強制執行、延滞損害金の請求などの手続きがあります。ただし、これらの手続きには費用や時間がかかることがありますので、専門家に相談したうえで、適切な対処方法を選択することが重要です。
5. 養育費自動差し押さえ制度
養育費自動差し押さえ制度とは、養育費を自動的に差し押さえることができる制度です。支払いが滞っている場合には、雇用者から源泉徴収された給与から自動的に差し押さえが行われます。
この制度を利用する場合は、法務局の養育費自動差し押さえ制度担当窓口に申請する必要があります。申請には、養育費を受け取る側の住所や銀行口座などの情報が必要となります。
6. 養育費保証制度
養育費保証制度とは、養育費を受け取る権利があるにもかかわらず、相手方が支払いを拒否している場合に、国が養育費を負担する制度です。
この制度を利用する場合は、法務局の養育費保証制度担当窓口に申請する必要があります。申請には、養育費を受け取る側の住所や銀行口座などの情報が必要となります。
以上が、養育費が支払われない場合に強制的に回収する方法についての説明です。相手方が支払いを行わない場合でも、弁護士や専門家に相談して適切な対処方法を選択し、しっかりと回収していきましょう。